実家が愛媛で饂飩屋を営んでいた。

吉田栄作似の男。

神戸の高級住宅街の中に在るレストランで働いていた。

あの頃はバブル弾ける前後の微妙な時期だった。

愛媛の田舎から神戸の高級住宅地域に転居して来た男は周りの環境や人間達の様子に目を丸くしたらしい。

仕事関係で慣れないゴルフに付き合ったり、場違いな美女の居るラウンジバー等で遊んだり・・・

部相応を遥かに超えた豪遊ぶりだったらしい。

まあ・・上司の奢りも有ったのだが・・

男には兄が居たのだが、兄は有名大学に進み有名企業に勤めていた。

弟である男は3流高校卒。

卒業する前後にガールフレンドと地元で同棲。

しかし、其れがトラブり??・・父親のツテを頼り神戸の高級料理店に・・

当時、田舎モノ其の者だった男達に身に合わない事を実行させようとしたのが、バブルの前後に発行されていた男女の付き合い方を書いた男性誌。

クリスマスイブには高級ホテルを予約し、高級プレゼントを恋人にあげるのが当たり前みたいな・・

高級プレゼントはティファニーの指輪やブランド物等・・・

で・・付き合いも浅いのに高級ホテルを予約した男。

給料の殆ど全てを注ぎ込んで、一世一代の大勝負に出ようとした。

高級ホテルの一室で神戸の夜景が一面に現れる窓辺に座り女と美酒に酔い・・

女を美酒に酔わせる筈が男の方が美酒に酔い・・爆睡・・

で・・相手は勝負の土俵に乗るも相手をしてくれなかった。

拍子抜け・・

翌朝のブレックファーストはバイキングで有った。

お洒落な高齢の男女ばかりの中で男はGジャンにGパン。

で・・翌朝は京都に行くと決めてレンタカーを借りていた男。

車を持っていなかったのだ。

二日酔いの中、女を乗せて京都の嵐山へ。

嵐山に男女で行くと別れると言い伝えが昔・・聞いたものだ。

フラフラの状態で嵐山散策の男には既に見栄は捨てられ素が見えていた。

財布の中身は既に無に近いものに成っていた。

で・・帰りの高速のインターでの昼食は素饂飩に成っていた。

・・・・・・・・・・・・・

愛媛の田舎の吉田栄作もどきは給料の殆どを散財しても女を落とす事が出来なかったのだった。

バブルの弾ける前後の頃は、こんな男女が多数居て、男が散財しても女に利用され、揚げ句に振られる事例が多かったものである。

と・・・或るバブルが弾ける前後の或る男女の物語である。

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