子供の頃には家の前の蜜柑畑の間に桃の木が植えていたが、夏に実がなるとコガネムシが桃の未成熟な内に食べてしまい・・・
其の後の美味しくない桃を仕方なく食べていた。
そして、大人に成ると密かに母親が夏に成ると葡萄や桃を箱買いしていて居るのを知り・・・
何故か私達姉妹の口には入らなかったのは今でも疑問だし憤怒している。
殆どが母親が自分の自室に置いていて密かに食べていた様なのだ。
西瓜は昔は祖父母が畑に作っていたので、夏に成ると何時も食べられた。
其の頃は井戸水で冷やしていたし。
メロンの様な味のする瓜も美味しかったな。
特に漬け物にすると大変美味しかったっけ。
祖父母が生きていた頃は米だけでなく野菜も作っていたし。
其れが母親と父親に成ると父親は正社員で働いていたし、休みの日は米作りの他は蜜柑を作っていたから野菜まで手が回らずに、母親は野菜を作らずに居たからなあ・・
多分に近所の御婆さんに野菜を貰っていた記憶が或る。
あ・・売り物に成らない野菜ね。
思えば、母親の代に成ると野菜が少なくなったわ。
第一に母親は食品を買いに行くのが嫌いなのだ。
自分の服等を買いに行くのは大好きなのに。
昔は週に何回か軽トラで食料品を売りに来る人が居て、其処から購入する事が殆どだったわ。
其れが・・・勿論定価以上に高かった。
売ってる商品もワンパターンだったし。
唯一、庭に或る梅の木から採れる梅で母親が作った梅干は味が塩だけで、添加物が無くて此れだけは美味しかった。
勿論、祖母は梅干や味噌も手作りだったし。
昔は甘酒も手作りしていたし。
甘くて美味だったなあ・・
そして、今でも忘れられない味は、おから。
祖母が作ったおからの味は絶品だった。
思うに煮物の味が本当に美味しかったわ。
チャンと出汁をとったので、化学調味料は一切使わなかったからなあ・・
質素な食事でも煮物が美味しかったから、肉が無い日が有っても其れだけでも満足してた。
あ・・魚は鯖が多かったわ。
肉は鯨か鶏肉。
極端に言えば味噌汁と御飯と祖母の漬け物と煮物だけでも充分だった。
今思い返すに健康的な食事を幼少時代に食べていたんだなと。
オヤツ等は夏だとジャガイモを焼いたのだけでも満足してたし。
夏場は寒天で水羊羹や蜜柑のゼリーを作ってくれたし、夏蜜柑に砂糖を入れただけのジュース。
近所の幼馴染の雑貨屋に菓子が売っていても殆ど買いに行かなかったな。
勿論、外食はしなかったし。
で・・・
今の楽しみは一寸傷んでるけど充分に食べられる桃を購入する事。
二個で三百円とか・・・
二個で二百円の時も有るし。
此れが最近の私の些細な楽しみなのだな。
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